WINGの歩き方 Ver 1.10


WINGとは

 WINGは World-wide InterNet Gokaisho の略です。インターネットは利用者数千万人と言われる世界最大の計算機ネットワークですが、WINGはそれを利用した24時間営業、無料の「電子碁会所」と言えます。WINGには日本人だけでなく、世界から囲碁愛好家が集い、囲碁を打ったり、観戦したり、囲碁の話をしたりしています。

 この文章は、インターネットになじみのないパソコンユーザを対象に、WINGを紹介する目的で書かれたものです。囲碁サーバにとっつきにくいイメージを持たれている方々に、 是非ともWINGを体験してただきたいと思います。

WINGへの接続のしかた

 WINGに接続するには、 あなたの計算機がインターネット(Internet)に接続できることがまず必要です。インターネットへの接続方法には次のようなものがあります。計算機が

(1)電話でインターネットプロバイダ(※1)につながる
(2)電話でパソコン通信ネットにつなげることができ、
   そこでtelnet(※2)が使える(※3)
(3)大学や研究機関のネットワークに直接つながっていて、
  telnetが使える

などです。

※1,2 付録Bを参照。
※3 ただし、商用パソコン通信ネットによっては、WINGに接続できない場合があります。理由は、telnetコマンドでポート番号を指定できないためです。最近は、パソコン通信業者がプロバイダサービスも併設していますので、それを利用することを勧めます(なお、ニフティサーブの場合は、hyperroadを使えばWINGに接続することができます)。

 上記(1)(2)(3)いずれの場合もtelnetコマンドが使えるので、

   telnet wing.gr.jp 1515

と入力してみてください。 'wing.gr.jp' はWINGのサーバー計算機のインターネットでのアドレスです。'210.158.192.40' でも同じことですが、こちらは変更される可能性があります。また、1515 はポート番号と呼ばれるもので必要です。 プロバイダ接続の場合で telnet の起動方法がわからない人は、 Windows なら DOS ウィンドウで上の例の通りに入力するか、マックなら端末プログラム(NCSA telnet-Jなど)を使ってください。(なお、対局用ソフトの書体を日本語書体に設定変更してあれば、telnet wing.gr.jp 2525 に接続するといいでしょう。ポート番号2525は、日本語専用ポートになっています。)

 英語ポート番号の1515の場合、しばらく待つと次のような画面が出てくるはずです。違うデザインの画面が出るかもしれませんが、画面の左下に 'Login:' と出ていれば大丈夫です(ログイン画面は現在3種類あります)。

===========================================================================
         Adapted from NNGS (Copyright 1995 by Erik H. Van Riper)
         Copyright 1997 by Shigeru Mabuchi, all rights reserved.
===========================================================================
>>>>>>>>>> Welcome to the World-wide InterNet Gokaisho (WING)!! >>>>>>>>>>
                |
               * *                 @@@  @@  @@@  @@@  @@@  @@@  @@@@@@@@@@
              *   *                @@@ @@@ @@@  @@@  @@@@ @@@  @@@
               * *                 @@@@@@@@@@  @@@  @@@@@@@@  @@@  @@@@@
         wwWWWW   WWWWww           @@@@ @@@@  @@@  @@@ @@@@  @@@    @@@
      wwwwWWW iiiii WWWwwww        @@@  @@@  @@@  @@@  @@@  @@@@@@@@@@
    wwwwWWW  iiiiiii  WWWwwww
  wwwwwWWW  iiiiiiiii  WWWwwwww      ... designed by Y.Takigawa / K.Tsuchiya
 wwwwWWW     NNNNNNN     WWWwwww
wwwWWW        NNNNN        WWWwww  "Gokaisho" stands for Go Club in Japanese.
wwwWW          NNN          WWwww  Go is one of the most sophisticated games
 wwW           GGG           Www   in the world. The Chinese call it "WeiQi",
              GGGGG                the Koreans call it "Baduk"; and the
             GG   GG               Russians call it "the game of the gods"!!

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account 'guest'.                   +   to:  info@wing.gr.jp
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
=== WING Server System Ver 1.07 ===
Login:

図1. WINGのログイン画面

覗いてみよう

 WINGのログイン画面まで到達できたら、 とりあえず 'Login:' という文字列の後に'guest' と入力してみましょう。 これは「お客様」用のユーザ名で、WINGの雰囲気をつかむためにちょっと覗いてみたい、という人にはうってつけです。 もしWINGが気に入ったら、正式なユーザ名を取得することになります。この方法でうまくログインできると、次のような画面が表れます。

Welcome to WING!!You have logged in as a guest.
Your guest account is "guest002".
please type 'help register' for further details.

      (…中略…)

More informations available on our homepage:
  http://www.tky.threewebnet.or.jp/~mab/wing/

Enjoy your visit!
**************************************************************************
WING #111 Sat Jun 14 05:09:29 std 1997
WING>>

図2. WING に guest で入った直後の画面

 上から2行目を見て下さい。 'guest002' というのが今回割り当てられた一時的なユーザ名です(guestでログインしている人は同時に複数いることがあるため、番号がついています)。その下にいろいろと書いてあるのはWINGからのお知らせです。 さて、どんな人がどんな碁を打っているのでしょうか。ちょっと覗いてみましょう。

 まず最初に、今誰がこの碁会所にいるのかを見ます。 'WING>>' の後に 'who' と打ちます。

WING>> who
 Info       Name       Idle   Rank |  Info       Name       Idle   Rank
    --   -- honeybee    0s     NR  |     --    1 talk       36s     3d*
     1   -- sun         3m     4k* |     --    2 later       2m     1k*
     1   -- champ       2m     1d  |     --    2 sinchan    17s     1d*
    --   -- guest001    0s     NR  |     --   -- hazama     53s    10k
    --    1 kab        39s     2d* |     
                ********   9 Players 2 Total Games ********

図3. 'who' コマンドの実行結果

 下から2行目に自分のユーザ名が見えています。 それぞれの欄の意味については、後で説明します。さて最後の行には、現在9人が接続しており2局の碁が進行中であることが示されています。 では誰と誰が対局しているのでしょうか。今度は 'games' と打って下さい。

WING>> games
[##]  white name [ rk ]      black name [ rk ] (Move size H Komi BY FR) (###)
[ 1]        talk [ 3d*] vs.         kab [ 2d*] ( 93   19  0  5.5 12  I) (  2)
[ 2]     sinchan [ 1d*] vs.       later [ 1k*] (  0   19  0  0.5  8 FI) (  0)

図4. 'games' コマンドの実行結果

 一番左の欄は対局番号、一番右がその碁を見ている人の数です。 観客がついているのは、二段と三段の互先(対局番号1)です。ちょっと見てみましょう。'observe' コマンドを使います。

 WING>> observe 1
 Adding game 1 to observation list.
 
 Game 1 (I): talk [ 3d*] vs kab [ 2d*]
     A B C D E F G H J K L M N O P Q R S T      H-cap 0 Komi  5.5   
 19 |. . . . . . . . . . . . . . . . . . .| 19  Captured by #: 1
 18 |. . . . . . . . . . . . . . . . . . .| 18  Captured by O: 4
 17 |. . . O . . # . . . # # # O . . . . .| 17
 16 |. . O + O . . # # + # O # O . # . . .| 16  Wh Time 11:43 B 10
 15 |. . . # O . O # . # O O O O . # O . .| 15  Bl Time 9:30 B 2
 14 |. O . # # O O O # O O . O . . # . . .| 14
 13 |. # . # O O . # O . . O O O . # # # .| 13   Last Move: P5
 12 |. . # O # . . . . . . O . O O # O O .| 12   #98 O (White)
 11 |. . # O . . . . . . . # O # # O . . .| 11
 10 |. . . O . . . . . + . # O . . O . . .| 10    B # 97 O4
  9 |. # . . . . . . . . . # O # # O . . .|  9    W # 96 O3
  8 |. . # # # . . . . . . . # . . # O . .|  8    B # 95 P3
  7 |. . . O . . . . . . . # . . . . . . .|  7    W # 94 P4
  6 |. . . . . . . . . . . . . . . O O . .|  6    B # 93 M7
  5>|. . . . . . . . . . . . . .>O<. # . .|< 5    W # 92 R8
  4 |. . . O . . . . . + . . . # O # . . .|  4    B # 91 Q8
  3 |. . . . . . . . . . . . . O # . . . .|  3    W # 90 N13
  2 |. . . . . . . . . . . . . . . . . . .|  2    B # 89 N12
  1 |. . . . . . . . . . . . . . . . . . .|  1    W # 88 M13
     A B C D E F G H J K L M N O P Q R S T

図5. 'observe'コマンドによる観戦

 黒石は'#'、白石は'O'で表わされています。一手進むたびに盤面全体が送り直されます。上の画面を見て「こんな盤では打つ気にならないな」と思った人も多いことでしょう。でも安心して下さい。今はWINGを「テキストモード」で使っているため、 すべてが文字で表示されているのです。実際はWINGのユーザの多くは「クライアントモード」でWINGを使っています。 そのためには計算機の機種に依存したクライアントプログラムが必要ですが、これがあれば画面上のグラフィックの碁盤でマウスを使って対局できます。 Windows用、Mac用、UNIX用などのプログラムが、インターネット上で配布されています。詳しいことは、後の「クライアントプログラム」の章を参照してください。 本ガイドの説明はテキストモードに即して行ないますが、クライアントモードでもそれに準じて考えて下さい。

 さて話を戻しましょう。まず観戦を中止し、ログアウトします。

 WING>> unobserve 1
 Removing game 1 from observation list.         
 WING>> quit

図6. 終了のしかた

ユーザ登録

 guestユーザでは使えるコマンドが制限されています。 継続的にWINGを利用して対局してみたいという方は、ユーザ登録することが必要です。ユーザ登録するには、guestでログインした後、

 WING>> register <新規ユーザ名> <あなたのメールアドレス> <あなたの名前>

と入力してください。例えば、

 WING>> register honeybee cxj07776@niftyserve.or.jp Mitsuo Hachinosu
 Player 'honeybee' is now registered! Confirmation together with 
 password is sent to your email address: cxj07776@niftyserve.or.jp

図7. 'register' の成功例

という具合です。 万一、登録しようとしたユーザ名(bee)をすでに誰かが使っていた場合は

 WING>> register bee foo@bar.or.jp Mitsuo Hachinosu
 A player by the name bee is already registered.

図8. 'register' の失敗例

と表示されます。別のユーザ名を選んでください。 重複がなくうまく登録されれば、数分のうち(遅くとも数時間以内)に、そのアドレスにメールが届きます。 メールには新しいユーザ名のパスワードが書いてあります。メールが送付されてから20時間以内に最初のログインを行わないと、 そのユーザ名は自動的に削除されてしまいます。メールを受け取ったら早めにログインしましょう。 また、最初にログインしたとき'password' コマンドでパスワードを覚えやすいものに変更しておくと楽です。

対局

対局相手の見つけ方

 相手を見つけるにはどうすればいいでしょう?  まず自分に近いレベルで、現在対局していない人を見つけましょう。それには、'who' コマンドを使います。例えば私は4級ですから、7級から1級までの人をまとめて表示してみます。

WING>> who 7k-1k
 Info       Name       Idle   Rank |  Info       Name       Idle   Rank
 g  --    1 sun         3m     4k* |  --  3   -- later       2m     1k*
 g  --    3 himitsu     9m     5k* |  g  --    1 mac        13s     7k*
 !   3   -- kai         1m     7k* |  X   2   -- omc         1m     6k*
 -- --   -- zarugo     17s     4k* |  g  --    2 kim         7s     6k*
 X   3   -- siro       27s     7k* |  --  2   -- someone    20s     5k*
 g  --    2 ic         14s     4k* |  g  --    3 blue        4s     4k*
 !  --   -- bow         1m     6k* |  -- --   -- honeybee    7s     6k*
                ********   14 Players 3 Total Games ********

図9. 'who' コマンドの出力例

 現在、7級から1級までの人が14人接続しています。 この中に、相手になってくれそうな人はいるでしょうか?

対局可能な人だけのリストを見たいときは、'who 7k-1k o' として下さい。 'o' は open ということです(対局可能な全員を見るには 'who all o' です)。 参考までに2番目の欄ですが、ここに番号がある人はその対局を観戦中しています。 「打ちませんか?」と誘って構いません。

 さあ、適当に誰かを選び 'tell' コマンドを使って話しかけてみます。

 WING>> tell someone hi. a game?         
 WING>> 
 *someone*: OK.

図10. tellで相手を見つける会話例

 相手がうまく見つかりました。 もし、待っても返事がないときは、別の人を誘っても問題ありません。特にアイドル時間(※付録Bを参照)が長い人は、計算機の前を離れている可能性が大です。

 そのほか 'tell' する前に、 'stats'コマンドで相手の情報を見るのもよいことです。

 WING>> stats someone
 Player:        someone
 Full Name:     Hideki Yamada
 Terminal:      Japanese (SJIS)
 Communication: English, Japanese
 Rating:         2d*   3225
 Games Played:  25  (15 wins / 10 losses)
 Games Rated:   12  (8 wins / 4 losses)
 Teaching:      Teach handicap game up to 5 stones     
 Address:       hide@abc.defgh.ne.jp
 Reg date:      Sun Jun  8 05:06:39 1997
 Idle Time:     1:00 (On server)

図11. 'stats'で相手の情報を見る

対局開始のコマンドと条件設定

+ rank

 いざ対局を申し込む前に、一つやっておくべきことがあります。 あなたの強さの設定です。設定するのは'rank' コマンドで、 'rank 5k' や 'rank 2d' のように使います。'k' は級、'd'は段です。 ただし、自分で設定できるのは4dまでです。WINGに登録後、一度だけこの設定をしてください。

 一つ注意していただきたいことは、WINGの段級位はかなり厳しく、IGSとほぼ同じだという点です。IGSのランクは、アメリカでの一般の段級位より2.5段(級)くらい辛いと言われています。アメリカの段級位は日本のそれより1段(級)以上は辛いですから、 日本での段級位よりも3〜5程度ランクを落として登録することを勧めます。できれば設定する前に、1〜2局そのランクの人と打ってみるのが一番よいと思います。

+ match

 対局を開始するコマンドは match です。普通は対局の意思を確認した後に

 WING>> match someone B 19 10 15

などと入力します。 'B'はあなた自身が黒を持つという意味、'19'は19路盤、'10 15'は持ち時間10分、(25手分の)秒読み時間15分ということを表わしています。どちらかがこのコマンドを入力すると、システムは他方に対してそのことを伝えるメッセージを送ってきます。この申し込みを受けるには

 WING>> match <相手のユーザ名>

と打ってください。

どちらが最初の'match'コマンドを入力すべきかですが、どちらでも結構です。

+ 時間の設定

 設定するのは、持ち時間と秒読み時間の二つです。 持ち時間を使い切ると秒読みに入ります。秒読みは通常のように一手ごとに行なわれるのではなく、一定時間内に25手を打ち切るというものです。その時間内に25手打てば時計は再び回復します。 打ち切れなければ時間切れ負けです。また25手打ち切ったときに何分余していても、次の25手に与えられる時間は同じです。

+ 置き石の設定

 置き石の数は、事前の話し合いで決めてください。 話し合って決めた置き石を置くには、matchの後、初手が打たれる前に黒のプレーヤーが

 WING>> handicap 4

などと入力します。

+ コミの設定

 コミは特に指定しない限り、次のようになります。

  1. 置き石がないとき
    1. 段級が同じとき   黒から5.5目
    2. 段級が異なるとき  黒から0.5目
  2. 置き石があるとき    黒から0.5目

これと異なるコミを採用したいときは、matchの後、初手を打つ前に双方が

 WING>> komi 3.5

のように入力してください。

+ その他の条件(free)

 19路盤の対局は両者のレーティング(※付録Bを参照)に影響し、 昇段級/降段級につながります。レーティングに影響しない対局をしたいときは、matchの後にどちらかが 

 WING>> free

と入力してください。これだけで、その局はカウントされなくなります。 解除するのもまったく同じコマンドです。free されている対局は、'games' コマンドで見たときに'F'の文字がついています。freeするかどうかは、予め両者で合意しておくのがマナーです。

着手のしかた

 クライアントプログラムを使っていない場合、 石を打つ場所は'D16'のように座標で入力します。クライアントプログラムをインストールしてあれば、 碁盤のその位置をマウスでクリックするだけです。

終局のしかた

+ 中押し勝ち/負け

 一番簡単な終局です。投了しようと思ったら、'resign' と打てばいいのです。 もちろん「自分の中押し勝ち」を宣言することはできません。

+ 時間切れ勝ち/負け

 不幸にしてどちらかの秒読みの時間が切れてしまったとき、 システムから対局の終了が宣言されます。ただし、残り時間がゼロになってもその瞬間ではまだ終局ではないことに注意してください。システムが終局を認識しそれを通知するまでには、たいてい数秒から数十秒の遅れがあります。勝負がついたと思ってすぐログアウトしたりせず、通知があるまでじっと待ってください。逆に言うと通知がある前なら、あなたの手番なら打ってみるか、 相手の手番なら'addtime' コマンドを入力してみて構いません。 もしかしたら時間切れを回避できるかもしれません。

+ 作り碁

 終局したと思ったら、'pass' と入力してください。 両者の'pass'が三回(すなわち一方が二回、他方が一回)続くと終局となり、計算モードに入ったことがシステムから通知されます。 このモードでは、取り除く石のグループをシステムに教えます。やり方は、取り除くグループのどれかの石の座標(例、D16)を入力するだけです (クライアントプログラムを使っているなら、その石をマウスでクリックです)。

 取り除く石は自分の石も相手の石でも大丈夫です。 どちらかのプレーヤーが指定した石は盤上からすぐ取り除かれて、新しい盤の様子が表示されます。もし違うグループを指定してしまった場合は、'undo'で取り消せます。すべての必要な石が取り除かれたと判断したら、'done' と入力してください。両者がそう入力した時点で、システムが地の勘定を行ない、すぐに結果が通知されます。

注意: すべての死んだ石のグループが取り除かれたことをよく確認してください。 慌てて、'done' と打つ必要はまったくありません。 私は、お互いが取り除き忘れた石のせいで勝ち碁を落した苦い経験があります。(終局直前のチョンボより悲しい!)

+ ダメの詰め方(作り碁のとき)

 終局する(passする)前にすべてのダメを詰める必要はありませんが、 どちらかの地として勘定されてしまいかねないところは詰めてください。下の図でいうと、a点を詰める必要はありませんが、bは白に詰めさせることが必要です。放置して終局すると、白(○)の地に数えられてしまいます。 すなわち、欠け目は詰めるということです。

  |+++○+●++  
  ●●●●○+●++
  |+●○b○●++
  ●+●○○●●++
  ・●a○−●●−−

図12. ダメ詰めの例

対局中のトラブル

 インターネットで碁を打つ場合、 突然のトラブルで碁を中断せざるを得ないことがあります。計算機やネットワークにはトラブルがつきものですから、しかたありません。ほとんどの場合、碁は中断した時点で保存されますから、慌てることはありません。

 いくつかの場合に分けて対応のしかたを紹介します。

+ 自分と WING ホストとの接続が切れたとき

 なんの前触れもなく突然 telnet の画面に戻ってしまったり、 何を打ってもホストが反応しなくなった場合は、まずこれにあたります。この場合は、落ち着いて再びログインし直し、まず相手に自分が戻って来たことを'tell' で伝えます。 数分程度だったら相手も待ってくれているはずです。中断した対局は、自動的に保存されていますから、それを'stored' コマンドで確認し、'load' コマンドを使って碁を再開します。

 もし再びログインすることが無理だったら、どうしようもありません。 時間をおいてまたやってみるくらいしか方法はありません。

+ WINGホストと相手との接続が切れたとき

 この場合、相手の接続が切れて碁が 'adjourn' されたということがシステムから通知されます。そのときは、打ちかけの碁は保存されていますから、相手が再びログインして来るのを待つだけです。相手がログインしているかどうかは、'stats' コマンドで確認してください。

 ときどき、相手の接続が切れたのに、 システムがなかなかそれを認識してくれないことがあります。例えば相手の手番なのになかなか打ってくれないときは、怪しいです。 相手の状態をstats で調べて、もしログインしていないようならすぐにadjourn でその碁を保存してください。万一相手の考慮時間が尽きて、時間切れで勝負が決まってしまうと後味が悪過ぎます。

+ WINGホストがダウンしたとき

 WINGサーバー自身も普通の計算機ですから調子が悪くなることもあります。 滅多にはないことですが、対局中に

 WING>>
 !!!! The server is going down in 2 minute.!!!!      
 Should be right back up.

図13. 緊急時のシステムメッセージ

図13のようなメッセージを受け取ったら、いったん碁を 'adjourn' することを勧めます。この場合、自分からログアウトして数分待ってからまたログインしてみてください。相手も同じように入って来たら、'load'コマンドで碁を再開すればよいのです。

対局のマナー

+ undo(「待った」)

 「待った」というのはお互い嫌なものです。 そのために 'undo' コマンドがありますが、これは相手が打った石を盤からはがすためのコマンドです。WINGでは自分の打った石を自分ではがすことはできず、その逆だけができるのです。だから「待った」をしたい人は 'say'(または'tell')コマンドで、対局相手に「undoしてください」と頼むわけです。

 これに応じるかどうかはあなた次第ですが、 undo を頼む側は「typo(あるいはclicko)だからundo してくれ」なんて言うこともあります。 typo(clicko)はタイプ間違い(クリックミス)という意味です。確かに実際の碁盤と違って、指の拍子でそういうこともあり得ますので、ある程度はしかたないとも言えます。でも中にはそういうことが嫌いで、 statsのコメント欄に 'No undo.' などと書いている人もいます。「待ったなしだよ」というわけです。

+ addtime

 'addtime' は、相手の残り秒読み時間を増やすコマンドです。 だから、時間が切れそうなプレーヤーは'addtime, pls!' などと言ってくるわけです。2分足してあげるなら、'addtime 2' とします。

 これに応じるかどうかもあなた次第です。回線の調子が悪くて遅延時間が長かったり、途中で切れてしまって時間がかかったりという事情があるときは、やむを得ないでしょう。逆にいうと、 多少の回線不調があっても大丈夫なように最初から充分な秒読み時間をもらうのがよいマナーです。

+ adjourn(打ちかけ)

 いったん打ち始めた碁を最後まで打つのは当然のマナーですが、 どちらかの側の回線の調子が悪くて何度も接続が切れてしまうような場合は、話は別です。両者で相談して 'adjourn' コマンドで対局を保存し、 回線の調子がよいときに再開するほうが賢明です。保存されている碁を確認するには 'stored' コマンドを使います。 打ちかけの碁は6日経つと消去されますが、これを防ぐのは 'touch' コマンドです。

+ 逃亡者(escaper)について

 WINGやIGSでは勝敗に応じて各自のレーティング(得点)が管理され、段級位が変化します。そのため勝敗にこだわるあまり、負けそうな碁を途中で放り出して接続を切ってしまう不心得者がIGSでは特に多いようです。もちろん故意かどうかは本人しか知りませんが、繰り返し回線が切れる人もいて、「逃亡者(escaper)」と呼ばれています。

 しかしWINGでは、エスケーパー対策を徹底していますので、負け碁を放り出して逃げることに意味はありません。そんなことをしても、自分のランクを下げることにつながるだけです。

個人環境の設定

+ 端末表示言語の設定(term)

 WINGの大きな特徴は「多言語対応」ということです。つまり、日本語を好むユーザーは日本語で、英語を好むユーザーは英語で、WINGを使うことができます。具体的には

 ●'stats' など多くのコマンドの出力結果
 ●'help' コマンドで表示するコマンドの解説文

 が、選択した言語になります(今までは英語を選択したものとして説明してきました)。また、他のユーザーとの会話にも、日本語(全角文字)が使えます。

 register した直後は、ユーザーは英語を選択した状態になっています。これを日本語(SJIS)に変えるには

 WING>> term j

 とします。漢字コードに JIS や EUC を選びたいときは、'term' の後に 'jj' と 'je'をそれぞれ指定します。

 Windows や マックなら SJIS で大丈夫ですが、自分が使っている端末プログラム(telnet)またはクライアントプログラムが、

 ●日本語を表示できること、
 ●日本語フォントを選択してあること

 を予め確認してください。ちなみに設定を英語に戻すには 'term e' です。

 最後に、日本語を使う場合のマナーについて次のことに気をつけましょう。
 ●'shout'、'kibitz' では日本語(全角文字もローマ字も両方)は使わない、
 ●一対一で話しかけるときも、相手の選択した言語が英語のときは日本語を使わない。

+ stats コマンド

 自分の設定を見るには引数なしの 'stats' コマンドです。

 WING>> stats
 Player:        honeybee
 Full Name:     Mitsuo Hachinosu
 Terminal:      Japanese (SJIS)
 Communication: English, Japanese
 Rating:         4k*   2742
 Games Played:  2  (2 wins / 0 losses)
 Games Rated:   1  (1 wins / 0 losses)
 Teaching:      Teach handicap game up to 4 stones   
 Address:       cxj07776@niftyserve.or.jp
 Reg date:      Sun Jun  8 11:00:56 1997
 Idle Time:     1:25 (On server)

図14. 'stats' で自分の設定を見る

上の各項目について説明します。

 Player ユーザ名。register時に設定されます。
 Full Name  register コマンドで登録した本名です。 登録していなければ表示されません。
 Terminal システムからのメッセージの言語。 日本語が表示できるクライアントを使っているかどうかがわかるので、この欄を見れば全角文字で tell してよいかわかります。 括弧内は選択している漢字コードです。
 Communication tell などで、その人が受けつける言語です。 堪能であるという意味ではないので、英語と日本語は指定しておきましょう。
 Rating 計算されたレーティング(右側)と、 それに相当する段級位が表示されています。安定しているとシステムが判断すれば、後ろに'*'がつきます。
【重要】最初に'rank' コマンドを使って設定してください。
 Games Played WINGでの総対局数と勝敗数です。 ここの数字は 'reset' コマンドでクリアすることができます。
 Games Rated レーティングの決定に考慮された対局と勝敗の数です。 総対局数だけはクリアできません。
 Teaching 自分が上手となる置碁について、何子局まで許容するかを示します。 最初は 4 に設定されます。
 Address 電子メールアドレスです。変更は 'register' コマンドで。
 Reg date 'register' コマンドでユーザ登録した日付です。
 Info 自由に設定できるメッセージ文です。'info' コマンドで。

次の項目は、そのユーザがログインしているかどうかで違う項目です。

ログイン中のとき
 Idle Time そのユーザーが今WINGにいることを示しています。 時間は、最後にコマンドを実行してから経過した時間です。
ログイン中でないとき
 Last Access(GMT) 最後にログインした日付と時間が、 世界標準時(グリニッジ標準時)で示されています。
 Last Access(local) 上の時間が、 サーバーがある日本の時間で表現されています。

 これらの中で、ユーザーが明示的に設定すべきものは、Rating と Terminal です。Info、Communication、Teaching も設定しておくとよいです。それ以外は、初めの値で問題ないか常に適当な値が設定されます。

 'stats'コマンドは、引数に他のユーザ名を指定して、その人の情報を見ることもできます。対局を申し込む前に情報を見るのに使えます。また、特定のユーザを探すのには'who'コマンドを使うより便利です。そのユーザが今WINGにログインしているか、しているなら対局/観戦中か、していないなら最後にログインしたのはいつか、ということがわかります。

+ variable コマンド

 'stats'コマンドがユーザーごとの基本的な設定を扱うのに対し、'variable' コマンドは重要度の低い細かな設定を扱います。

WING>> variable
Variable settings of honeybee:
client (client)              = No      verbose (verbose)            = Yes
open (open)                  = No      player inform (pin)          = Yes
looking (looking)            = No      game inform (gin)            = Yes
automail (automail)          = No      shout (shout)                = Yes
size (size)                  = 19      tell (tell)                  = Yes
time (time)                  = 5       kibitz (kibitz)              = Yes
byo-yomi time (byo_time)     = 15      bell (bell)                  = Yes
byo-yomi stones (byo_stones) = 25      ladder shouts (lshout)       = Yes
width (width)                = 79      Extended Prompt (extprompt)  = No
height (height)              = 24      notifiedby (notified)        = No
Water Balloons               = 3       Problem number               = 0

Prompt: WING>>

図15. 'variables' で自分の設定を見る

たくさんありますが、重要なものを以下で説明します。
値が数字になっているもの以外は、真か偽の値をとるスイッチで、例えば open フラグなら

 WING>> toggle open on (または off)

のように値を変更します。

 client クライアントプログラムを使うとき on にします。但し例外もあるので、正確にはクライアントのマニュアルを参照してください。
 open off にすると「今は対局しません。誘わないでね。」という意思表示で、'who' で見たとき 'X' がつきます。 状況に応じてこまめに変更してください。
 automail on にすると、自分の対局が終了するたび、棋譜ファイル(SGF)が自動的にメールで送られます。すぐに棋譜が必要でなくても on にしておくことを勧めます。
 height 端末ウィンドウに表示できる行の数です。 'help' コマンドで表示される説明文は、この行数だけ表示して一旦止まります。
 verbose onにすると、一手打たれるごとに盤面全体の情報が送られてきます。
 shout offにすると、他のユーザの shout が聞こえなくなります。 システムからの重要なメッセージには影響ありません。
 kibitz off にすると、観戦しているとき他の観戦者の kibitz が聞こえなくなります。(自分の対局中にはどっちにしても聞こえません)
※kibitzについては後の説明を参照。
 bell onにすると、着手やメッセージのたびにベルが鳴ります。

+ 会話言語の設定(comm)

会話言語は 'stats' で見ると 'Communication' の欄に表示されます。最初は英語だけになっていますが、日本語を足すには次のようにします。

 WING>> comm +J
 Communication Language set to English, Japanese.     

図16. 'comm' コマンドで会話言語を追加する

 '+'をつけ、'J' を大文字で書くのをお忘れなく。これで、あなたが日本語と英語でのやりとりを行なうことが宣言されました。
 但し、会話言語に 'Japanese' があっても、必ずしも漢字が表示できる端末を使っているとは限らないのでご注意ください。

その他の便利なコマンド

 これまでに説明したコマンドの他にも重要なコマンドがあります。いくつかについて説明します

help(オンラインヘルプ)

 この「WINGの歩き方」に書いてある説明の多くは、help コマンドで見ることができます(端末表示言語を設定すれば日本語で読めます)。コマンドの使い方がわからないときは、

 WING>> help <コマンド名>

 としてみてください。また、コマンド以外でもWINGに関するあらゆる情報は、help で見られるようになっています。「WINGで迷ったら、迷わずhelp」です。ただし、説明がシステムの現状に合致していないことがたまにあるので、気をつけてください。

tell, say, kibitz, yell, shout

 WINGの魅力の一つはいろいろなコミュニケーション手段が提供されていることです。上のコマンドは、だいたいこの順番で重要です。

+ tell

 ログイン中ならいつでも使えるコマンドです。誰かに話しかけるとき、

 WING>> tell <ユーザ名> <メッセージ>

の順で引数を与えます。最後に tell したのと同じ相手に再び tell するときは、

 WING>> . <メッセージ>

というように、「.」(ピリオド)を使って略記できます。誰かがtellで話しかけてきたときは、ユーザ名の前後に '*' がついて表示されます。

 WING>>
 *someone*: hello. are you there?          

図17. 'tell' の表示例

+ say

 自分の対局中に、対局相手と話すためのコマンドです。

 WING>> say <メッセージ>

とすれば相手にメッセージが伝わります。'say' の代りに ',' (コンマ)を使うことができます。say で送られたメッセージは、tell で送られたメッセージと同様に '*' でユーザ名をはさんで表示されます。
 対局中に say で話した内容は棋譜に残り、それは誰でも見ることができます。tellとの大きな違いです。

+ kibitz

 自分が観戦中に、その碁の観戦者全員にメッセージを送るためのコマンドです。

 WING>> kibitz [#] <メッセージ>

とします。最初の引数(#)は観戦中の碁のゲーム番号で、観戦している碁が一局だけなら省略できます。'kibitz' の省略形は「'」(シングルクォート)です。

 WING>>
 Kibitz observer [someone]: Game mike vs jim 13    
 W's big group in the center seems dead.

図18. 'kibitz' の表示例

 このコマンドはいわゆる「盤側の会話」のために使います。対局者にはもちろん見えませんが、say と同様棋譜に残ります。したがって、対局者自身が後で見る可能性もあります(逆に言うと、自分の対局の「盤側の会話」を後で見ることができます)。

 その他に、
  ●その碁の観戦者の一覧を見るには、'all' コマンドを使う。
  ●'toggle' コマンドで kibitz の設定を off にすると、
  ●一切の kibitz が聞こえない。
  ●対局者自身も、kibitz で観客に一方的に話しかけることができる(逆は無理)。
 などの点に留意してください。

+ yell

 チャンネルという場所で何人かで同時に話すときに使います。メッセージは個人に対して送るのではなく、チャンネル番号に向けて送ります。'help yell', 'help channel' で説明を読んでください。

+ shout

 ログインしているユーザ全員にメッセージを送ります。余程のことがない限り、使わないことを勧めます。ユーザ名の前後に '!' がついて表示されるので、tellなどと区別します。(慌ててtellで応えないように!)

 WING>>
 !someone!: good night, guys.           

図19. shoutの表示例

他のユーザのshoutがうるさければ 'toggle shout off' で聞こえないようにできます。

user

userの項、未稿。

alias

 よく使うコマンドの短縮形を登録します。例えば私は以下のように登録しています。

 WING>> alias g games
 WING>> alias s stats                
 WING>> alias w who 7k-1k

図20. aliasの登録例

最後の例では、'w o' と打つと 'who 7k-1k o' の代わりになります。また、引数なしで 'alias' と打てば、現在設定されている alias の一覧を見ることができます。alias の設定内容は、他の設定と同様ログアウト後も保存されます。

sgf, mail

 WINGで打たれた碁の棋譜はすべて SGF(※付録Bを参照)という形式で保存されます。この形式のファイルは数ヵ月はそのままの形で保存されます。この数ヵ月間の SGF ファイルの一覧を見るのが 'sgf' コマンドです。引数はユーザ名です。
 SGF ファイルは誰でも 'mail' コマンドで取り寄せることができます。WINGのログイン画面で「WINGでは情報公開を原則としている」と説明されている通りです。使い方は、

 WING>> mail me 

 です。以前は第一引数に任意のアドレスを与えることが許されたのですが、間違いが多かったため、現在は'me'(=登録された自分のアドレスを意味する)だけが許されています。また、PostScript ファイルを送る 'psmail' というコマンドもあります。

 WING>> sgf honeybee
 Completed games for honeybee:
 honeybee-konchan-970608-1205          honeybee-BB4-970614-0107   
 nakaya-honeybee-970616-0131           konny-honeybee-970617-0053 
 Found 4 completed games.

 WING>> mail me nakaya-honeybee-970616-0131
 nakaya-honeybee-970616-0131 mailed to cxj07776@niftyserve.or.jp.
 WING>>

図21. 'sgf'、'mail' の実行例

result

 ユーザ名を引数として指定すると、そのユーザの最近数日間の対戦成績を表示します。

message

 現在ログインしていないユーザにメッセージを残すために使います。

 WING>> message <ユーザ名> <メッセージ>

 とすると、そのユーザが次にログインしたとき、メッセージが着いていることが通知されます。自分あてのメッセージは、引数なしの 'message' で読むことができます。読んだメッセージはそれだけでは消えず、'erase' コマンドで削除します。

password

 パスワードを変更するために使います。

 WING>> password <新パスワード>

 です。パスワードは5文字以上でなければいけません。登録時にメールで送られてくるパスワードは覚えにくいので、最初にログインしたときにでも覚えやすいものに変更しておくのが普通です。

find

findの稿、未稿。

ayt

 接続の確認のために使います。端末が突然黙りこんでしまったとき、'who' など他のコマンドで反応をみてもよいのですが、'Yes.'という短い応答だけが帰ってくる 'ayt' を使うほうが望ましいでしょう。'Are you there?'の略です。

クライアントプログラム

クライアントとは

 普通の端末プログラムからの telnet は文字による入力/出力だけが可能で、下図のようなしくみになります。端末ウィンドウには文字だけしか表示できません。

  +--------------+                +-------------------+
  |  端末        |________________|    WINGホスト     |
  |  プログラム  |    Internet    |(wing.gr.jp)     |
  +--------------+                +-------------------+
        ↑
        ↓
(端末ウィンドウ)

図22. 端末プログラムの接続

一方、「WINGでいう」クライアントプログラムは、次図のようなしくみになります。碁盤と石を表示したり(出力)、マウスクリックで石を打ったり(入力)できる点が違います。

         +-------------+                 +-------------------+ 
         | クライアント|_________________|     WINGホスト    |
         |  プログラム |     Internet    |(wing.gr.jp)     |
         +-------------+                 +-------------------+
            ↑      ↑
            ↓      ↓
 (文字ウィンドウ) (グラフィック碁盤)

図23. クライアントプログラムの接続

 クライアントプログラムは端末プログラムと同様、計算機のOS(Operating System)に合わせたものが必要です。

これらは、ftp://ra.york.cuny.edu/nngs/Go/clients/ か ftp://igs.nuri.net:/Go/clients から anonymous ftp(※1)でダウンロードできます。ほとんどがフリーウェア(無料)かシェアウェア(※2)です。
※1,※2 付録Bを参照してください。

 97/6/17現在、igs.nuri.net:/Go/clients にあるクライアントプログラムを、いくつか下に示します。どのOSにも複数のクライアントがあります。インストール方法や使い方やは各クライアントに依存するので、付属するドキュメントを参照してください。

Windows用
  /Go/clients/winigc78_16bit.zip   Client for MS-Windows 3.x
  /Go/clients/winigc78_32bit.zip   Client for Win95 or NT
  /Go/clients/pcigc51x.exe         Self extracting PC IGC version 5.1
 /Go/clients/haicli10.zip         Hai's client: Windows (Win32s) Go client

Macintosh用
 /Go/clients/macgo.361.hqx        MacGo (68k)
 /Go/clients/macgo.361.ppc.hqx    MacGo (PowerMac)
 /Go/clients/GoServant.1.64.68k.sea.hqx    GoServant (68k)
 /Go/clients/GoServant.1.64.PPC.sea.hqx    GoServant (PowerMac)

UNIX用
 /Go/clients/cgoban-1.4.2.tar.gz  CGoban, X11 client
 /Go/clients/xigc_v3.92.tar.Z     XIgc, X11 client
 /Go/clients/xgospel-1.10d.tar.Z  XGospel, X11 client

棋譜ファイルを再現するには

 WINGでの対局が終了すると、棋譜は SGF (※付録Bを参照)という形式のファイルとして、WINGホストに自動的に保存されます。このファイルは 'mail' コマンドで取り寄せることができ、クライアントとはまた別の専用プログラムによって再現・検討することができます。
 SGF ファイルの特徴は、枝分かれした変化をそのまま記録できることや、すべての局面にコメントがつけられることです。WINGから送られてきたファイルには、変化は含まれていませんが、観戦者の kibitz がコメントとして含まれており、局後の検討には適しています(自分で変化やコメントを付け加えて、保存しておくこともできます)。
 メイルで取り寄せた SGF ファイルは、テキストエディタでメイルのヘッダの部分(「(;」の行の直前まで)を取り除くと棋譜ファイルになります。
 棋譜を再現するプログラムは、クライアントと同様 ra.york.cuny.edu か igs.nuri.net から anonymous ftp でダウンロードすることができます。97年6月17日現在、ダウンロード可能なプログラムのいくつかを下に示します。

Windows用
 /Go/mgt/winmgt56.zip        MGT for MS Windows
 /Go/prog/wingo1.zip         Program to read/write Smart Go for MS Windows

Macintosh用
 /Go/prog/smartgo41.hqx       Smart-Go 4.1 for Mac. The original Smart-Go
 /Go/prog/smartgo41jap.sea.hqx  Patch to make Japanese version of Smart-Go

UNIX用
 /Go/mgt/xmgt231.tar.Z      X11 Mgt displays smart-go
 /Go/prog/xsgfedit-1.01.tar.Z  X11 Smart Go File editor
 /Go/prog/xgoban-linux.tar.Z   X11 Smart-Go display program, board interface

あとがき

 このガイドはもともと個人的なメモから始まっています。その後、友人や NIFTY-Serve を通じて知り合った方々に読んでいただき、励ましや貴重なご意見をいただきました。お名前はあげませんがこの場でお礼を言いたいと思います。ありがとうございました。

 さて、日本の囲碁ファンと囲碁サーバとの間にある障壁は、現状では1.パソコン、2.インターネット、3.英語だと思います。パソコンについてはさておき、インターネットについてはここ一年ほどの間に個人ユーザの間で急速に普及が進み、初心者向けの詳しい解説書や雑誌が書店に並ぶようになりました。
 次に英語ですが、うれしいことにWINGでは日本語が使用できます。ただ、海外からのユーザもたくさん遊びに来ますので、英語の会話にも慣れておく必要があります。体験すればわかることですが、英語といっても、WINGでの実際の対局にはいくつかの決まり文句だけで充分なのです。英語力が必要になるのは、クライアントソフトの設定や使い方を覚えたりするときだけです。一通りのことをいったん理解してしまえば、「囲碁」こそが最良の国際語であることを実感するはずです。
 このガイドは、そのあたりの「一度理解してしまえばすむこと」をまとめたものです。ただしクライアントプログラムについては、機種に依存する話題でもあり満足な説明ができませんでした。

 最後に、このガイドについての批評、感想などありましたら、是非聞かせてください。よろしくお願いします。

1997年6月18日 みつばち(CXJ07776@niftyserve.or.jp)

1997年8月31日α版用に修正/98年1月22日部分修正/98年3月31日「付録A」の英文追加(協力kensan)/文責Komei(www@wing.gr.jp)/本文書中、WINGの実際の仕様と異なる説明に関する文章責任は、いっさいKomeiにあります。ご了承ください。


【付録A】「これだけ」英語教室

 言いたいのに何と言えばいいかわからず、黙り込んでしまうタイプの方は以下の表現例を参考にしてください。英語としては変かもしれませんが、この程度で十分通じます。自信を持って!

よく使う省略語

  B    black(黒)
  W white(白)
  r u are you
  ur your
  thx Thanks.
  pls please
  ic I see.
  tho though

対局を申し込む

  Would you like a 15 15 game?
  持ち時間15分、秒読み15分で打っていただけませんか?

  How about a h-2 15 10 game?
  持ち時間15分、秒読み10分の二子局で打ちませんか?

  a 10 20 game?
  持ち時間10分、秒読み20分で一局どう?

申し込みを受ける/断る

  OK.    いいよ。
  sure.   よろこんで。

  Nice to meet you, let's have a nice game.
  よろしくお願いします。
  Me too.   こちらこそ、よろしくお願いします。

  Sorry, I have no time tonight. Next time.
  ごめん、今夜は時間がないんだ。今度ね。

  Sorry, I have to go in 15 min.
  ごめん、15分後に出かけるんで。

  No, I don't like fast games.
  いや、早打ちの碁はしないんだ。

  Sorry, I am talking to xxxx now. Maybe later?
  いま、xxxxさんと対談中です。後でお願いします。

  Sorry, I can't play right now,
  I am going over my game with xxxx.
  いま、xxxxさんと局後の検討中なので打てません。

  Sorry, I am about to begin playing with xxxx.
  xxxxさんと対局するので打てません。

条件を交渉する

  I prefer no handicap games. OK?
  置き石なしの方がいいんだけど、それでいい?

  I need 15 BY time because of bad (or unstable) connection.
  回線の調子がよくないんで、秒読みは15分欲しいな。

  How about 13 7? It's late here.
  持ち時間13分、秒読み7分ではどう?こっちはもう深夜なんだ。

回線トラブル

  I was kicked out suddenly. Sorry.
  急に接続が切られちゃった。ごめん。

  Connection is terrible today.
  今日は回線の調子が最悪だ。

お願いの表現

  Would you add time, please?
  時間を足してくれますか?

  undo, pls. it's a clicko.
  アンドゥーして。間違えてクリックしちゃった。

終局後の表現

  Thank you for the game.
  どうもありがとう。

  You did a good job in the UL corner.
  左上隅でうまくやったね。(※ 'UL'はupper-left, 'DR'などもある)

観戦中の表現

  W's a-16 group seems dead.
  白の'a-16'の石のグループは死んでる。

  There's no KO threat any more.
  もうコウだてがない。

  Is W ahead?
  白がリードしてるの?

  B's D16 is not sente.
  黒がD16に打っても先手じゃないよ。

局後の検討

  My command of the English language is quite limited,
  so I am referring to a phrase book to respond to you.
  I would appreciate your understanding.
  私は英語がダメなので、マニュアルを見てこの返事をしています。
  そういうことなので、よろしくネ。

  I don't speak English too well,
  I can't do without my phrase book. Please bear with me.
  (意味は上と同様)

  Sorry, what I want to say is not in the phrase book.
  ごめん、言いたいことがマニュアルに載ってないもので…

  W's a-16 group seems dead.
  白の'a-16'の石のグループは死んでる。

  If you didn't overplay trying to capture my stone,
  I would have lost.
  トリにこられなければ負けていました。

  Black's position is low.
  黒の位が低い

  White has undermined black's potential territory.
  白にえぐられた

  xx didn't work and increased the loss.
  xxがモチコミになった

  xx is the key point in this shape.
  xxは形の急所

  xx is not the key point.
  xxは筋が違う

  It would have been better to play xx rather than
  respond to white's move here.
  手抜きしてxxに向かう方がいい

  - You should have responded to white's move here.
  - xx was a necessary move here.
  - You can't "tenuki" here.
  ここは手抜きしてはいけない

  Black allowed white to gain a little advantage.
  キカサレです

  Black has gained nothing by playing xx.
  キカシになっていない

  It's erasing aji, that is, latent threat or potential possibility.
  アジケシです

  xx was a severe/strong move.
  xxはキビシイ手でした

  xx was a slack move.
  xxは緩着です。

  It would have been better to play xx to consolidate the gain.
  xxに打って店じまいしたいです。

  It would have been better to play a leaning move at xx.
  xxに打ってモタレる方がいい

  Attack xx and yy at the same time, in a 'karami'.
  xxとyyとをカラミにする

  Black should play xx to prevent white's escape.
  xxと打って封鎖したい

  Black should play xx so as not to allow white to settle.
  xxと打って根拠を奪いたい

  xx was a bad mistake / oversight.
  xxの錯覚はひどかった

相手のいうことがわからないときの英語

  What do you mean?
  どういうこと?

  I don't understand what you said.
  言ってることがわからないんだけど。

【付録B】「わからないと眠れない」用語集

telnet(テルネット)
離れた計算機にネットワーク経由でログインするためのコマンド。相手の計算機に自分のID(ユーザ名)が必要。WINGの場合は、guestという誰でも使えるIDでログインし、そこでオンラインでIDを取得する。
インターネットプロバイダ
インターネットへの接続手段を提供してサービス料金をとる業者。WWW(World Wide Web)と電子メールだけでなくネットワークを経由してのログインやファイル転送などもできる。日本でもここ数年の間に急速に業者が増え、料金体系もさまざま。
アイドル時間
「WINGでいう」アイドル時間とは、最後に何らかの入力をしてから現在までの経過時間。statsコマンドで見ることができる。アイドル時間が短ければ端末の前にいるはず。
レーティング
この項、未稿。
ftp(file transfer protocol)
離れた計算機との間で、ネットワークを経由してファイルをコピーするためのコマンド。一般的には接続する相手の計算機に自分の ID(ユーザ名)を持っている必要があるが、'anonymous'というゲスト用の ID によって不特定多数からのアクセス(読み出しのみ)を許している計算機がある。このような計算機をftpサイトといい、プログラムを広く配布する目的で企業や大学によって運営されている。
シェアウェア
ソフトウェアの配布形態の一つ。誰でも自由にダウンロードやコピーして使ってみることができるが、気に入って本格的に使う場合は作者にお金を払うというもの。金額は一般に低めに設定されている。払わないで使う人もいるが、もちろん払うべき。お金を払うと機能制限を解除するパスワードを教えてくれるタイプのものもある。
SGF(Smart-Go format)
インターネット碁の世界(WING、NNGS、IGS、LGSなど)で、事実上の標準となっている棋譜のファイル形式。もともと'Smart Go Board'というシェアウェアプログラムで使われたファイル形式だが、現在は多くのプログラムが採用している。インターネットで公開されているプロの棋譜などは、ほとんどがSGF形式で配布されている。
IGS(Internet Go Server)
1992年、世界で最初に立ち上がったインターネット上の碁会所。当初はボランティアで運営されていたが、現在は韓国の会社が所有している。
1997年4月から日本だけ有料化する方針をとったため反発を買った。
(詳細は http://www.din.or.jp/~k_inoue/IGS/)。
有料で利用したい場合は「パンダネット」(http://www.joy.or.jp/)を通せば可能。
NNGS(No Name Go Server)
IGS の運営方針に反発した人たちが199X年に設立した囲碁サーバー。完全なボランティア運営で、当初は New York 市立大学にあったが、現在は別の場所にある。接続するには 'telnet nngs.cosmic.org 9696' とする。サーバープログラムが公開されており、台湾の LGS(Legendary Go Server)や日本のWINGもそれを利用している。但し、NNGSとWINGのコマンド体系は完全に同じではない。

------------------------------------------------ END(1997.9.1/ver1.05)